研究グループ
知的システムデザイン研究室では,知的照明システム,最適化(シミュレーテッドアニーリング,遺伝的アルゴリズム),クラスタ,グリッド,ソーシャルウェアなどの研究を行っております.このページは,知的システムデザイン研究室が行っている研究活動について紹介します.研究グループ名をクリックすると各研究グループのサイトをご覧いただけます.
知的照明(Intelligent Lighting Systems)
知的化の研究とは,人間にとってより高い効能をもたらす人工物を設計するための基礎研究です.人工物の機能,性能を拡張するためには,従来の人工物に備わっている機能,性能について総合的に考察する必要があります.そして,機能,性能の高度化とは異なった人工物の知能という観点からも人工物を捉える必要もあります.新しい人工物を設計する場合,人工物の目的,知的性質のメカニズムなどについて検討しておくことは非常に重要になります.知的化の研究では,新しい人工物を設計するための理論について検討し,その実装やシミュレーションを行っています. >>続き
知的照明・システム班
知的照明システム研究グループ(略称:システム班)では主にハードウェアを軸に研究に取り組んでいます.知的照明システムを支えるハードウェア要素としては,照明器具,照度センサ,制御を統括するモジュールなどが挙げられます.ハードウェア要素を改善することで,知的照明システムのもつポテンシャルは飛躍的に向上します.例えば,照明にマイクロプロセッサを導入することで,照明を個別分散制御することができ,耐故障性に優れたシステムを構築することができます.また,Felicaカードシステムや可視光通信を可能とする照明など新規的なハードウェアの導入により,ソフトウェアの改良だけでは望めない新たな機能を見出すことができます.現在では,スマートフォンやタスクライトなどを軸とした研究を行なっています. >>続き
知的照明・調光制御班
知的照明システムは,実証実験として,東京都内の先進的なオフィスビルに導入され,各ワーカーに対し最適な明るさが提供し,さらに従来の照明システムより大幅に照明による消費電力量が削減できることが証明されました.しかしながら,実証実験を通して,研究室における実験では発見できなかった知的照明システムに関する研究課題も見えてきました.知的照明システムは,照明と照明・色度センサの位置関係を学習することで,より迅速にワーカーの望む光環境を提供するが,オフィスフロアのように外乱の多い場所においては,位置関係の学習が困難な場合が存在しました.また,知的照明システムは,各ワーカーに対して不均一な明るさを提供するため,明るさのムラに違和感を覚えるワーカーも存在しました.本研究班では,これらの問題を解決するため,知的照明システムの新たなアルゴリズムの提案および改善に関する研究を行っています. 本研究による成果を,オフィスビルに導入したシステムに反映することで,知的照明システムの発展が見込むことが可能です. >>続き
知的照明・クラウド班
クラウド・コンピューティングとは,インターネット上にIT資源を設け,必要な人が,必要なときに,必要な量だけ,それらの資源を利用することができる仕組みを指します.すでに米国グーグル社やアマゾン社などが世界中に大規模なサービスを展開しています.この研究では,クラウド・コンピューティングの仕組みを活用して,ビル全体の大幅な省エネルギーを実現させるシステムを可能にするシステムを開発することを目的としています.現在の知的照明システムや知的オフィス環境創造システムでは,オフィス内に設置した無数のマイクロプロセッサやコンピュータが環境の最適化に関する計算を行います.次世代のシステムではこうした計算処理をクラウドコンピューティングによって実施することが可能になります.これによって,これらのシステムを導入した企業はIT資源の設備の維持・管理の手間を省くことができコストを削減することができます.一方,システムの開発においては常に最新のソフトウェアバージョンを提供することができる他,システムの稼働状況をリモートで集中管理できるため,トラブルに対しても迅速な対応が可能です.ビルで用いられている多くの機器や設備は,今後ますますコンピュータを用いて制御されていくことになります.そのコンピュータを群を維持・管理するのはそのビルの設備管理社にとって大きな負担となるため,これらのシステムをクラウド型に変換する研究は今後の情報通信技術の大きな発展になります. >>続き
BACnet班
BACnetとはビル内の設備を統合的に管理するための、通信プロトコルである.そのため,BACnetを用い,設備を管理しているビルに知的照明システムを導入する可能性もある.そこで,本研究グループでは,BACnetを用いた知的照明システムについての実現可能性を検証する.また,大規模なオフィス環境においてBACnetを用いた知的照明システムを効率的に運用する方法についても検討する.
茅場町班
2013年5月、知的照明システムが実用化第一号として三菱地所株式会社の茅場町グリーンビルに導入されました。この知的照明システムは株式会社コンテック、株式会社セコニック、シャープ株式会社が共同して製作し、株式会社九電工が設置工事とシステムの保守を担当します。このビルはテナントビルであり、テナントは岩井コスモ証券です。2013年7月からの稼働ログデータは1日に6万件、1ヶ月では180万件となります。絶え間なく生成されるこのビッグデータを解析し、執務者が好む照度や色温度が実現されているか、省エネルギー性能はどの程度か、他のフロアの、知的照明システム以外の種々の照明システムとの比較結果はどうなのか、など、毎日毎日、検討事項は数多くあります。窓からの外光分布の推定、照度センサーの故障の発見、制御用コンピュータのソフトウエアの性能検証、ならびに、知的照明システムの更なる発展を考えるチームが茅場町研究グループです。実テナントビルから得られる世界初のデータを解析し、新たな照明システムを提案・企画・設計します。
オフィス班
近年ではオフィス環境改善を行う際,情報工学とのコラボレーションは必須となっています.特に米国グーグル社やマイクロソフト社などではオフィス形態そのものを変化することで作業効率が向上し,業績が伸びる仕組みを確立しています.オフィス班では,このようなオフィス形態に着目し,オフィスワーカの知的生産性の向上やストレス軽減を改善することを目的としています.つまり,知的照明システムを用いて光環境の改善を試みるだけでなく,オフィスの利用形態そのものに情報工学を組み込み,離席・在席などの管理やルーチンワーク業務を見える化し,より快適なオフィス環境の実現を目指します.また,ノンテリトリアルオフィスのように創造的作業に適した環境に変化している先進的なオフィスに対してより効果を発揮できるよう研究しており,オフィス班での研究はあらゆるオフィスに容易に導入できるようになっています. >>続き
感性班
光環境の要素には,照度以外にも輝度や光の色などがあります.近年ではこれら光環境を改善することで,知的生産性の向上を見込むことができると報告が多くされています.このような背景から色・制御グループでは光環境の中でも輝度や色温度,光色に着目し研究を行なっています. 実験室には赤,青,緑の波長に加え黄色の波長が実現可能なSHARP製4原色フルカラーLEDや輝度計などが常備されており,最先端の環境で実験を行なっています.照度,色温度、輝度などがオフィスワーカに与える影響の検証や,その検証を踏まえた上で,より快適な環境を創造する制御方法の実現を目指しています.
センサネットワーク班
近年,スマートオフィスやスマートハウスに対する関心が高まっており,その中で,センサネットワークを利用する動きが活発化しています.センサネットワークでは,センサ同士が互いにコミュニケーションを取ることで,様々なセンサデータを収集することが可能です.また,我々の研究室で研究・開発を行なっている知的照明システムは,照度センサから取得する照度情報を基に,任意の場所に任意の明るさを提供する照明制御システムです.知的照明システムにおいて,照度センサをセンサネットワークとして構築することで,照度センサ数の増減およびオフィス内のレイアウト変更に柔軟に対応することができます.そこで,我々センサネットワーク班では,照度情報を取得・収集する無線端末にMOTEを使用し,センサネットワークを用いた知的照明システムの研究を行なっています.センサネットワークを構築する際に生じる,パケットロスや無線端末の電池交換のコスト等の課題に取り組み,知的照明システムにおけるセンサネットワークの利用を可能とします.効率的なデータ収集および環境変化への柔軟な対応が可能なセンサネットワークを構築することで,より快適なオフィス空間の実現を目指します.