研究グループ:クラウド
研究概要
クラウド・コンピューティングとは,インターネット上にIT資源を設け,必要な人が,必要なときに,必要な量だけ,それらの資源を利用することができる仕組みを指します.すでに米国グーグル社やアマゾン社などが世界中に大規模なサービスを展開しています.この研究では,クラウド・コンピューティングの仕組みを活用して,ビル全体の大幅な省エネルギーを実現させるシステムを可能にするシステムを開発することを目的としています.現在の知的照明システムや知的オフィス環境創造システムでは,オフィス内に設置した無数のマイクロプロセッサやコンピュータが環境の最適化に関する計算を行います.次世代のシステムではこうした計算処理をクラウドコンピューティングによって実施することが可能になります.これによって,これらのシステムを導入した企業はIT資源の設備の維持・管理の手間を省くことができコストを削減することができます.一方,システムの開発においては常に最新のソフトウェアバージョンを提供することができる他,システムの稼働状況をリモートで集中管理できるため,トラブルに対しても迅速な対応が可能です.ビルで用いられている多くの機器や設備は,今後ますますコンピュータを用いて制御されていくことになります.そのコンピュータを群を維持・管理するのはそのビルの設備管理社にとって大きな負担となるため,これらのシステムをクラウド型に変換する研究は今後の情報通信技術の大きな発展になります.研究題目
・知的照明システムにおけるクラウド化の検討知的照明システムのシステム構成として,制御装置をオフィス内部に設置する方法,オフィス外部に設置する方法,およびマイクロプロセッサを照明器具に搭載し制御する方法の3つが挙げられる.これまで制御装置をオフィス外部に設置する方法は検討されてはいたが,検証実験は行われていなかった.そこで本研究では,制御装置をクラウド上に設置するクラウド型知的照明システムの検討を行う.今回はクラウド型のシステム形態をとるにあたって,実証実験が行われている制御装置を内部に設置する方式を用いたものと比較し,システム動作の比較を行った.
図1. クラウド型知的照明システムの構成図
本研究では,知的照明システムにおける運用費,および導入費を,クラウドサービスを利用してシステムを構築することによって削減する事を目的とし,どのようなクラウドサービスをどのように利用すればクラウドサービスの利用料金を最小限にすることが可能か検証する.
研究結果
・知的照明システムにおけるクラウド化の検討知的照明システムの最も基本的な機能である「任意の場所に任意の明るさ」を実現する照度収束実験を行い.収束結果の確認を行った.インターネットを介して制御を行うため,実証実験が行われているものに比べて照度収束に時間がかかるものの,クラウド型においても照度の収束が可能であることが示された.照度収束実験は15灯の照明と4つの照度センサを用いて行った.以下に実験環境を図2.実験環境,および照度収束実験の結果を図3に示す. 以下の図1にICカードによる在席管理を導入した知的照明システムの省エネルギー性能の実験結果を示します.
図2. 実験環境
図3. 照度収束実験の実験結果