研究内容

研究グループ:システム

研究概要

 知的照明システム研究グループ(略称:システム班)では主にハードウェアを軸に研究に取り組んでいます.知的照明システムを支えるハードウェア要素としては,照明器具,照度センサ,制御を統括するモジュールなどが挙げられます.ハードウェア要素を改善することで,知的照明システムのもつポテンシャルは飛躍的に向上します.例えば,照明にマイクロプロセッサを導入することで,照明を個別分散制御することができ,耐故障性に優れたシステムを構築することができます.また,Felicaカードシステムや可視光通信を可能とする照明など新規的なハードウェアの導入により,ソフトウェアの改良だけでは望めない新たな機能を見出すことができます.現在では,スマートフォンやタスクライトなどを軸とした研究を行なっています.


研究題目

・ICカードによる在席管理を導入した知的照明システムの省エネルギー性能

 知的照明システムは,実オフィスへ導入を行い,その有効性を検証しています.検証の結果,実現される照度の平均値は大きく減少し,消費電力も大きく減少しました.しかし,一部のユーザが在席・離席情報の入力を適切に行っていないことが分かりました.このため,実際はユーザが不在であるにも関わらず不要な照明が点灯しており,省エネルギー性が低下しています.そこで,本研究ではさらなる省エネルギー性向上を目指し,ユーザの在席・離席情報入力の向上を実現する方法として,ICカードによる在席管理を導入した知的照明システムを提案します.

・知的照明システムにおける照明器具に搭載可能な制御装置の開発および照度収束性の検証

 知的照明システムは自律分散型のアルゴリズムを用いているため,システム構成として分散制御型のシステムおよび集中制御型のシステムの双方の構成をとることが可能です.これらのシステム構成は,異なった特徴を有しているため,知的照明システム導入オフィスによって適切な構成は異なります.しかしながら,自律的に動作を行う照度センサおよび照明器具に搭載可能な制御装置の開発コストが大きいことから,分散制御型知的照明システムはこれまで構築してきませんでした.そこで,本研究では各機器の試作を行い,分散制御型知的照明システムを構築します.

・スマートフォンを照度センサとして用いた知的照明システム

 知的照明システムでは,各ユーザに1台ずつ照度センサを配布しそれらに対して目標とする明るさを入力することで,制御を行ないます.そこで,近年普及しているスマートフォンを知的照明システムにおける照度センサの代替として用いることを提案します.これにより,照度センサ以外にスマートフォンに内蔵されている様々なセンサを用いた状況センシングが可能となり,知的照明システムにおける新たな制御手法を提案することができます.

・タスクライトとアンビエント照明を組み合わせた知的照明システムの提案

 現在,知的照明システムは天井照明(アンビエント照明)の光度を制御することで,個別照度を実現しています.一方で,タスクライトは,光源から机上面までの距離が短いため,消費電力量を表2-1. 評価に用いた実験環境抑えながらも机上面を照射することができます.知的照明システムにおいてタスクライトを組み込むことにより,さらなる省エネルギー性の向上を目指し,またタスクライトとアンビエント照明の点灯比率から生じる均斉度悪化の改善について検討します.

研究結果

 以下の図1にICカードによる在席管理を導入した知的照明システムの省エネルギー性能の実験結果を示します.


図1. ICカードによる在席管理




図2. 照度収束性の検証


Introduction

  • 研究グループ
  • 月例発表会
  • 修士論文題目
  • 卒業論文題目
  • 共同研究