Lecture



知的システム工学  〜 Intelligent Systems Engineering 〜


 概要

システムエンジニアを目指す学生には受講を強く勧める.その理由は次の通りである.
  1. 他の多くの講義は「解析」的な講義であるが,この講義は「シンセシス(合成)」または「デザイン(設計)」的な講義であり,工学部を卒業して,ソフトウエアやシステムを作るときに必要になる多くの知識や技術について講義する.

  2. この講義は,単にシステム工学の知識を講義するに留まらず,システムエンジニアとしての心構えや,システムデザインの態度という重要な問題についても講述する.

  3. レポート課題は,多くの知識を自分のものとする上で,不可欠の演習であり,これによって,卒業研究に入る学生の能力が格段に向上する.


次に,講義内容の意義について述べる.

工学的あるいは社会的な問題の解決は新しいシステムを導入することで行われる.そのようなシステムは大規模化し,複雑化しており,もはや人間が直感的に捉えることが困難になってきた.本講義ではそのような複雑なシステムを設計・開発するときに必要な科学的手法,すなわち対象のモデル化,シミュレーション,最適化,適応化,および知的化などを学ぶ.特に,知能を持つシステムの開発や,知的なシステム開発の方法は将来の工学を考える上で最も重要な論点となる.これらは新しい人工物のデザインの科学である.この科学を学ぶことで,システムエンジニアは何を,何のために,どのように,どの手法を用いて,どこまで,そしてどのような態度で行うのがベストであるか,ということが分かるようになる.


 授業計画

  • 第1回 システムとはなにか,システムの特徴,機能と構造,アプローチの方法

  • 第2回 問題解決のモデル,生物の問題解決,適応と知能,自律エージェントとシステム

  • 第3回 知的なシステム,知能の定義,知能のはたらき,システム知能の実現

  • 第4回 連続システムの特性評価,実験計画法,システムダイナミクス

  • 第5回 離散システムの特性評価,モンテカルロ法,ペトリネット,セルオートマトン

  • 第6回 デザインの方法,知的システムと知的デザイン,利便性,経済性,環境適合性

  • 第7回 最適化デザイン1 線形計画法,非線形計画法,組合せ最適化法

  • 第8回 最適化デザイン2 モンテカルロ法,シミュレーテッドアニーリング

  • 第9回 最適化デザイン3 進化的最適化手法,創発的デザイン

  • 第10回 システムの信頼性と安全性,統計的手法,確率過程,フォールトツリーアナリシス

  • 第11回 シンセシスと好適方式,環境変化と再構成,データマイニング

  • 第12回 感性とヒューマンファクタを考慮したシステム,複合領域でのコラボレーション

  • 第13回 知的システムの問題点,非知的システムの有用性,知的システムの将来展望


 テキスト

三木光範著『進化する人工物』(オーム社)および配布プリント

 参考文献

奈良宏一他著『システム工学の数理手法』(コロナ社)
足立紀彦他著『システム工学』(コロナ社)
石川博章著『システム工学』(共立出版)
中村康範嘉平他著『新版 システム工学通論』(朝倉書店)

 担当者

回数  担当者 
三木光範 
三木光範 
三木光範 
廣安知之 
三木光範 
三木光範 
廣安知之 
三木光範 
三木光範 
10  廣安知之 
11  三木光範 
12  三木光範 
13  三木光範, 廣安知之 




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