Lecture



データベースシステム  〜 Database Systems 〜


 概要

システムエンジニアを目指す学生には受講を強く勧める.その理由は次の通りである.
  1. コンピュータの応用分野で最も重要なのは,科学技術計算,通信,そしてデータベースである.特にビジネスの分野でのコンピュータの利用はほとんどがデータベースに関連する.このため,データベースについての基本的知識を学び,現実世界のデータをデータベース化する方法を考え,そして多くのデータベースを効果的に利用する方法を知ることはシステムエンジニアにとって大変重要なことである.

  2. データベースを行うには現実世界のモデル化という操作が必要である.このとき,現実世界の中から何を抽出するかを考える.そのためには,データベースの利用において何が要求されているのかというユーザーオリエンテッドな考え方が最も重要となる.この講義では,システムエンジニアにとって不可欠であるこのような考え方を学ぶ.

 講義の内容は次の通りである.

本講義では機能の高いデータベースシステムとしての関係データベースの考え方および基本的な技法について論じる.特に,データモデルと実世界のモデリング,データベースの設計とスキーマ,データベース言語SQL,物理的なデータの格納方式,問合せ処理,同時実行制御,および障害回復などについて述べる.さらにはオブジェクト指向データベースの概念についても述べる.特に,データベースの外部設計において重要となる現実世界のモデリングの方法を詳述し,内部設計において重要となるリレーショナルデータベースモデルの正規化について詳述する.


 授業計画

  • 第1回 データベースの基本概念,データベースシステムの基本概念とデータ管理,システムの構成と利用

  • 第2回 データモデルの基本概念,代表的データモデル,実世界のモデリング,実体関連モデル

  • 第3回 リレーショナルデータモデルにおけるデータ構造および整合性制約,関係代数,関係論理

  • 第4回 実体関連モデルからのリレーショナルデータベーススキーマの導出,関数従属性,関係の分解

  • 第5回 第三正規形,ボイスコッド正規形

  • 第6回 多値従属性,第四正規形,結合従属性,第五正規形

  • 第7回 リレーショナルデータベース言語SQLの基本概念,データ定義,問合せ,データ更新,埋め込みSQL

  • 第8回 物理的データ格納方式,記憶媒体,レコードとファイル,ヒープファイル,ハッシュファイル,索引付きファイル,B木,B+木,二次検索

  • 第9回 問合せ処理と最適化,関係代数式を対象とした問合せ最適化,基本データ操作の実行法,コスト見返りに基づく問合せ最適化

  • 第10回 トランザクション,並行処理と直列可能性,ロックおよび時刻印を用いた同時実行制御,楽観的同時実行制御,多版同時実行制御

  • 第11回 障害の分類,ログを用いた障害回復,シャドーページング,メディア障害回復

  • 第12回 リレーショナルデータベースの弱点,オブジェクト指向データベースシステムの基本概念,ODMGオブジェクトデータベース標準

  • 第13回 人間の脳におけるデータ処理とデータベースシステムとの親和性,インターネット環境でのグローバルデータベース


 テキスト

北川博之著「データベースシステム」昭晃堂

 参考文献

「関係データベースシステム」近代科学社
「データベース」共立出版

 成績評価

毎回の講義時に自由提出レポートの課題が出される.提出は自由である.このレポートは5点満点で評価され,その点数は期末試験の評点に加算される.この課題を行うことで,講義内容を,より深く理解することができる 講義内容の理解度を評価する.
期末試験は100点満点で,この試験結果にレポート点をすべて合計して最終的な成績とする.なお,100点を超えた場合は100点とする.



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