講習会「PCクラスタ超入門」の開催にあたって


三木 光範
同志社大学工学部
超並列計算研究会代表



PCクラスタは通常使用されているパーソナルコンピュータを複数台ネットワーク接続することにより構築できるメモリ分散型の並列計算機です.近年のCPUの性能の大幅な向上に伴い,場合によっては,スーパーコンピュータにも匹敵する性能を持つシステムを構築することが可能です.また,フリーウエアを使用し,これまでの大型の汎用機やワークステーションにおいて最もコストがかかっていた人件費と保守料を,ある程度のノウハウを持つことで削減することが可能であるため,コストを大幅に削除することができます.

この1年でPCクラスタシステムをとりまく環境は大きく変化したように思えます.最も大きく変化した点は,PCクラスタが急速に普及したことでしょう.8台程度の小さな規模のクラスタシステムは珍しくなくなっています.また,256台を超えるような大規模なクラスタシステムも日本においてもいくつか見られるようになってきました.このような状況において,PCクラスタに興味を持つ方も増えてきました.

本講習会は昨年度の同じ名称の講習会に引き続いて2年目の開催となります.昨年度の講習会は,全くこの分野の知識のない近所の大学の学生を対象として,せいぜい20人も集まれば良いという目論見でスタートしましたが,結果的には大盛況で,100名近くの方々が全国からご参加いただきました.これは望外の幸というより大誤算で,ご参加いただきました多くの方のレベルは非常に高く,我々講師陣が質疑応答で窮する場面もあったかと思います.今年は第2回目でもあり,また内容も充実させるために2日間の開催としました.講師陣として昨年度は同志社大学工学部知識工学科の知的システムデザイン研究室の関係者がほとんどでしたが,今年は外部の方にも多く入っていただき,より充実した内容としました.ただ,この講習会の目的はあくまでも「超入門」であり,対象者は「PCクラスタに興味を持っているけれどもまだ設置できない」という初心者です.なぜなら,我々講師陣も,一部の特別の専門家を除いて,PCクラスタを立ち上げたのは最近であり,まだまだ完全に使いこなすまでには至っていないからです.むしろ,今回の講習会も,昨年同様,最近PCクラスタを立ち上げたので,不十分ではありますがそのノウハウを公開し,皆さんとご一緒に議論しましょうという趣旨で開催させていただくものです.どうぞこの2日間,我々講師陣は精一杯頑張りますので,皆様もご一緒にPCクラスタの技術と利用法を考えていただければと思っています.

2000年9月
三木光範(超並列計算研究会代表,同志社大学工学部)