2005年度 基礎ゼミ 【知的システムデザイン研究室】
blogとは,Web上に残すlog(Weblog)の略で,ある話題について自分の考えなどのコメントをつけてウェブを 使って発信するものである. 個人や数人のグループで運営され,内容としては時事ニュースや専門的トピックスに関して自らの専門や立場 に根ざした分析や意見を表明したり, 他のサイトの著者と議論したりする形式が多く取られている.
blogはWeb日記や紙の日記と異なり,内容が広く一般に公開されており, 他のサイトからリンクされたり論評されたりする. 以下にblogの主な特徴について述べる.
blogは簡便な構造・利用方法であることから,最近では商業的利用だけでなく, 個人的利用も目立っており, 日本を含めた世界各地から日々さまざまな情報の発信が行われている.
blogは読者からのフィードバック機構であるトラックバック機能 (読者が他でブログを運営していて記事内で引用すると,引用された記事から引用した記事へのリンクが生成される) ,コメント機能(読者がブログを運営していなくても記事に対する感想等を直接ブログ記事に書き込める) などを標準で備えている.このため,blogサイト間やblog運営者, 読者間の双方向コミュニケーションを緊密にとることが可能である.
blogはRSS(Rich Site Summary:ホームページの見出し・要約が記述されたデータフォーマット)の書き出し機能を備えている. これと専用のツール(RSSリーダー)を組み合わせることで, 新しい記事情報を参照したり,記事が更新されると通知を受けることができる.
blogは,定型的なコンテンツしか取り扱えないというデメリットはあるものの, 難しい操作方法をほとんど覚えることなく簡単にコンテンツの更新が行える.すなわち, 自由度を制限することにより,簡単にコンテンツ更新が行えるツールがblogである.
多くのblogでは,コンテンツが日付順に並ぶ.そのため, 特定のコンテンツを最初に表示するとか,一部コンテンツの並びを変えると言った事はできない.
blogの作成方法は大きく分けて2つに分類できる.Web上のサービスを利用するタイプと,もう一方は 自分でサーバーにツールをダウンロードするタイプである. 本研究室では後者のタイプをとっており, blog作成ソフトのデファクトスタンダードとなってるMovable Typeを使用している.
Movable Typeは,データが構造化されていることで無駄が少なく, 多くのユーザが利用しているため情報が豊富であり, トラックバックやプラグイン(ユーザが機能を追加できる)が用意されている. また,機能拡張やバグフィックスの問題など,現在的・将来的にも 安心できるという利点がある.Movable Typeの機能と特徴を以下に述べる.
コンテンツを柔軟に設計ですることができる.また, テンプレートを変更することで全体のデザインを自動で変更することができる.
複数の投稿者を登録して情報を発信することができ,投稿者ごとに権限を制御することができる.
blogにデータを読み込ませたり,blogのデータを書き出したり,データの再利用を前提とした機能がある.
本研究室のblogは研究室外向けのページと,研究室内向けのページがあり, 研究室内向けのページには共通のログインネーム・パスワード認証をかける必要がある. これは,想定しない読者がページの閲覧することによって起こる問題を防いだり, ページの存在自体を想定していない人に知られたくないためユーザもいるためである.また, blogを設置した場合,設置者は責任を持って内容の管理を行わなければならない. blogを管理していく上で主に留意しておく事項について以下に述べる.
掲示板やブログの管理者は,個々の書き込みに対して一切の責任を有している.すなわち,ガイドラインに抵触するような書き込みを行わせない必要がある.また,万が一そのような書き込みがあった場合,管理者はすみやかにその内容を削除し,二度とそのようなことが起こらないように十分注意すること.これらの件について一切の責任は,掲示板やブログの管理者が負う.
上記の通り,管理者は責任をもってその書き込みを削除しなければならないが,いきなり削除したのでは閲覧者はどのような基準で削除されたのかが分からず困惑する.そこで,管理者は事前に「このような書き込みに対しては予告なしに削除することがある」ということを閲覧者に示してく.
「このような書き込みはやめてください」のように反応するのは一見丁寧で好ましい対応のように思えるが,そういった書き込みをしてくる人は概して管理者のそういった反応を楽しんでいることがあるので,いっさい予告せずに削除する方がよい.
書き込みにタグの使用を許可することで,掲示板やブログは賑やかで楽しいものになることは事実であるが,同時に不適切な画像へのリンクが作成されてしまうなどの危険性もはらんでいることを知っておかなければならない.こういったトラブルを未然に防ぐ方法として,タグの使用を禁止するべきである.
以下のURLにblogの設置マニュアルがある.設置マニュアルを参考にblogの設置が行うこと.
http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/wiki/homepage/blog.html
wiki(ウィキ)とは,Webブラウザから簡単にWebページの発行・編集などが行なえるWebコンテンツ管理システムで,WebサーバにインストールしてWebブラウザから利用する.柔軟性が高く,手軽に始められて操作が簡単なことから,メモ帳代わりや,簡易なコンテンツ管理システムに利用されている.
WikiはWard Cunningham氏が「WikiWikiWeb」というWebサイトで使っていたプログラムが原型となっており,同氏がこれを公開したことから,多くのWikiクローンプログラムが作成され,様々な環境に移植されている.そのほとんどはフリーウェアとして配布されており,簡単に入手して導入することができる.ちなみに,「Wiki」はハワイ語の「Wikiwiki」が語源で,「速い」「急ぐ」「形式張らない」といった意味がある.
Wikiには以下のような特徴がある.
Wikiは2.1節で述べたように,多くのWikiクローンプログラムが作成され,そのほとんどがフリーウェアとして公開されているため,様々な種類のWikiが乱立している.以下に代表的な国内産Wikiを挙げる.
本節ではPukiwikiを例に,Wikiの基本的な使用方法を述べる.Wikiでの基本的な使用方法としては以下のようなものがある.なお,他のWikiでは用語が異なる場合もあるが,基本的な使用方法は同じである.
ここでは,すでに存在するページを編集する方法について述べる.
まず,fig2.1にあるように,ページ上部の「編集」をクリックすると,fig2.2のような編集画面が表示される.
本文の編集が完了したら,fig2.2に示すように「ページの更新」をクリックをすることによって,ページを更新する事ができる.fig2.3に編集後に表示される画面を示す.
ここでは,新規にページを作成する方法について述べる.ページを新規作成するには,何も無い状態から作成する方法,ある語をキーワード化して作成す方法,「?」マークから作成する方法の3つの方法がある.以下で各方法について述べる.
何も無い状態から新規にページを作成する.
ページ上部の「新規」をクリックすると,fig2.4のようなページ新規作成画面が表示される.ここで,タイトルを入力し「編集」をクリックする.後はfig2.2のような編集画面が表示されるので,2.4.1項の要領でページを更新すれば,fig2.5のような新しいページが新規作成される.ここでは,新しいページのタイトルを「TestPage」としている.
あるページにある単語をタイトルとしたページを新規作成したい場合,その単語をキーワード化してページを作成する事ができる.
キーワード化してページを新規作成したい場合には,まずキーワード化したい単語があるページの「編集」をクリックする.次にfig2.6のように,編集画面で本文中のキーワード化したい単語を二重カギ括弧[[]]でくくる.ここでは,「知的システムデザイン研究室」という語をキーワード化する.
「ページの更新」をクリックすると,fig2.7に示すように単語の末尾に「?」がつく.ここで,「?」マークをクリックすると,単語をタイトルとした新規ページの編集画面になるので,本文を編集し「ページの更新」をクリックすれば作成終了となる.作成したページをfig2.8に示す.
すでに?マークがある場合は,?マークをクリックすると,その単語をタイトルとしたページの編集画面となる.この場合,そのままページを編集すればページが新規作成される.
Wikiでは,今回の更新でこれまでと文のどこが変更されたのか知る事ができる.
ページ上部の「差分」をクリックするとfig2.9に示すような画面が表示される.ここでは,「追加された行」と「削除された行」が色分けされて表示されているので,文のどこが変更されたのかを知る事ができる.
Wikiでは,リンクを貼ることができる.
[[リンク名:URL]]
と書くとリンクを貼ることができる.
※http:は自動的にリンクになる.
Fig2.10では,本文中の「同志社大学」に同志社大学のホームページへのリンクを貼っている.リンクを貼った結果をfig2.11に示す.Wikiでは,ページにファイルを添付する事ができる.
ページ上部の「添付」をクリックすると,fig2.12のような画面が表示される.ここで,「参照」から添付したいファイルを指定して「アップロード」をクリックすると,ページにファイルが添付される.
Wikiでは,画像を表示する事ができる.画像の表示の仕方には2種類あり,リンク先の画像をそのまま表示する方法と,自分で添付した画像を表示する方法がある.以下に各方法について述べる.
文頭で
#ref(ファイルのURL)
と書くとリンク先の画像が表示される.
表示したい画像ファイルを添付し,文頭で
#ref(添付ファイル名)
と書くと添付ファイルの画像が表示される.
fig2.13ではそれぞれの方法で画像を表示させている.ここでは,リンク先の画像として,同志社大学ホームページのトップページにある画像を表示させている.また,ufo.gifという画像を添付して,その画像を表示させている.その結果がfig2.14である.
Wikiは誰もがページを作成,編集できるという特徴を持つが,パスワードを用いてこれを禁止する事もできる.
ページ上部の「凍結」をクリックし,パスワードを入力する事により,ページを凍結させる事ができる.fig2.15,fig2.16にこの様子を示す.凍結を解除したい場合は,ページ上部の「凍結」が「凍結解除」に変化しているので,凍結する時と同じ要領でパスワードを入力し,凍結解除する.
削除したいページで,ページ上部の「編集」をクリックする.fig2.17のように編集画面でテキストボックスを空にする.
ページを更新するとfig2.18に示すようにページが削除される.
Wikiは2.4節の基本的な使用方法以外にも,以下に挙げるような様々な拡張機能を持っている.
cssを変更して,サイトの見栄えを変えることができる.
メニューバーを設置して,サイトのナビゲーションを作る事ができる.
カウンターや人気ランキングを設置してサイトのメタ情報をみることができる.
訪問者が書き込みをしやすいようにコメント欄や掲示板を設置できる
本章では,Webページに関するアクセス制限について説明する.アクセス制限とは,他人からのアクセスを禁止することができるもので,本研究室においてはISDLレポートやblogなどに制限をかける必要がある.アクセス制限の方法や,制限を行う際に必要となる.htaccessファイル及びパスワードリストファイルの作成方法についても解説する.
アクセス制限とは,特定のページへのアクセス,つまり“見る許可”を限定するものである.本研究室では,インターネット上にWebページを公開するため,apacheというアプリケーションを使用しWebサーバを運用している.研究に関する内部向けの情報も一部掲載しているため,第3者が閲覧できる状態は望ましくない.したがって,特定ページへのアクセスを,指定したドメインのみに許可したり,特定のドメインからのアクセスを拒否する必要がある.また,ID及びパスワードを持っているユーザにのみアクセスを許可するなどの設定も可能である.
アクセス制限は,「.htaccessファイル」と「パスワードリストファイル」の2つのファイルを作成することで簡単に行うことができる.まず,アクセス制限を行いたいディレクトリに.htaccessファイルを置く. .htaccessファイルとは,アクセス制限に関する設定を記述しておくファイルである.次に制限をかけたディレクトリへのアクセスを許可するユーザを指定するため,パスワードリストファイル(慣習的に.htpasswdが使われる)の作成を行う.パスワードリストファイルとは,アクセスを許可されたユーザーのIDとパスワード(を暗号化したもの)が書かれたファイルのことである.
ここで紹介するアクセス制限には,制限基準と制限対象がそれぞれ2種類存在する.制限基準に関しては,以下の2種類がある.
制限対象に関しては,以下の2種類がある.
制限基準及び制限対象にどのような組み合わせを用いるかは,.htaccessの記述による.3.3節では,実際にファイルの作成方法について説明する.
■.htaccessファイルの作成方法■
以下に.htaccessファイルの記述例を示す.
上記をテキストエディタに貼り付けファイル名を.htaccessとし,アクセス制限をかけたいディレクトリ内にアップロードする.
■パスワードリストファイルの作成方法■
パスワードリストファイルには,アクセス制限をかけたディレクトリにアクセスできるユーザ情報を記述する.「:」で区切り,左にID,右に暗号化されたパスワードを記述する.
このファイルは,Webサーバの「htpasswd」というコマンドを使って作成できる.blogにパスワードリストファイルを作成する場合の記述例を示す.
$ ls -a と入力し,ディレクトリの中に.htpasswdができていれば完成である.
A)ドメインによるアクセス制限方法
■特定のドメインからのみアクセス可能とする方法■
アクセス制限をかける際,特定のドメインを指定して制限をかけることができる.たとえば,“*.doshisha.ac.jp”からアクセスしているユーザのみ許可する際の.htaccessの記述例は以下のようになる.
上記をテキストエディタに貼り付けファイル名を.htaccessとし,アクセス制限をかけたいディレクトリ内にアップロードする.
■特定のドメインからのアクセスを拒否する方法■
特定のドメインからのアクセスを拒否のみすることもできる.たとえば,“*.doshisha.ac.jp”からアクセスしているユーザだけに見られないようにする際の.htaccessの記述例は以下のようになる.
上記をテキストエディタに貼り付けファイル名を.htaccessとし,アクセス制限をかけたいディレクトリ内にアップロードする.
「deny from ...」や「allow from ...」は複数書くことができる.またIPアドレスを直接指定することもできる.
例)IPアドレス172.20.11.92からのアクセスを拒否したい場合
deny from 172.20.11.92
■ファイルへのアクセス制限■
通常,.htaccessを設置したディレクトリ以下すべてにアクセス制限がかかるが,ファイル単位でのアクセス制限も可能である.ファイル単位でのアクセス制限を行いたい場合の例を以下に示す.
例)secret.htmlへのアクセス制限(IPアドレス172.20.11.92からのアクセスのみ許可)
上記をテキストエディタに貼り付け,ファイル名を.htaccessとし,アクセス制限をかけたいディレクトリ内にアップロードする.
異なったアクセス制限方法を同時に記述することも可能である.3.3.1項で述べてきたものを同時に用い,ドメインとID&PASSの両方で制限する際の.htaccessの記述例を示す.
この記述例に従って記述すると,“*.doshisha.ac.jp”から接続し,かつID&PASSを知っているユーザしかmikilaber.htmlを見ることはできないという制限がかかる.
ここでは,3.3節において説明したアクセス制限の方法を用いて,実際にアクセス制限をかける一連の手順を述べる.
1).htaccessの作成
テキストエディタ等で.htaccessファイルを作成する.例をFig.2に示す.
次にパスワードリストファイルを用意する.例をFig.3に示す.
例)作成先:*****.doshisha.ac.jp/~asayama/.htpasswd
.htaccessを正しく設定した後,アクセス制限をかけたいディレクトリ(もしくは,制限をかけたいファイルがあるディレクトリ)に.htaccessをアップロードする.パスワードリストファイルに関しては,www経由でアクセスできない場所にアップロードするのが望ましい.
例)アップロード先:*****.doshisha.ac.jp/~asayama/public_html/weblog/.htaccess
:*****.doshisha.ac.jp/~asayama/.htpasswd
以上で,ID&PASS及びドメインによるアクセス制限が可能となる.
4)確認
ブラウザでhttp://*****.doshisha.ac.jp/~asayama/weblog/を入力してみる.IDとパスワードの入力を促すダイアログボックスが表示される.設定したIDとPASSによって許可されれば,アクセス制限は正しく行えたことになる.もし,学外のプロバイダなどからつないでいればドメインによって拒否されるはずである.