知的システムデザイン研究室では,ホームページを作成し,それを通じて研究内容や成果などの紹介を行っている.こういったことは珍しいことではなく,他の研究室でもよく行われていることであるが,本研究室ではさらに研究生全員にホームページを作ることを義務付けている.今回のゼミはホームページ作りのための最低限度の能力を身に着けることが目的である.
なぜ本研究室ではホームページを作ることが義務付けられているのかを,以下に紹介する.
自らの研究の成果を発信する 研究生は自らの研究結果を多くの人に知ってもらうため,積極的に研究内容やその成果を発信すべきである.研究成果の発信手段としては学会での発表などもあるが,学会での発表より身近で,気軽に誰でも見ることができるものとしてWebがある.また,Web上には我々が研究を進めていく上でも非常に役立つ情報が多く存在しており,同様に我々が研究成果を発信することは,他の誰かの研究の役に立つと考えられる.また,自分の研究をWeb上で公開することによって,ほかの研究者のアドバイスや質問が,思いがけない収穫となるかもしれない.自分の研究が不特定多数の目に入るため,自分の研究に責任を持ち,発信することが重要である.
互いの研究理解のための手助けと交流の促進 研究生同士は互いに別々の研究をするため,相手の研究について詳しく知ることが困難である.月例発表会などでおおよその進行状況が伝えられたとしても,それだけでは相手の研究について深い理解はできない.そこで他の研究生の研究・近況について,より詳しく知るためにホームページを用いる.また,それぞれのホームページ上に置かれたBlogなどを利用することにより,互いの交流促進にも役立つと考えられる.
自らのアンテナを広げるツールとして 現在のWebでは,キーワード検索型の巡回ロボットを使ったサーチエンジンが多く存在する.ロボット型のサーチエンジンは,巡回ロボットがページにアクセスしてキーワードを抽出し,サーチエンジンを作成している.つまり,自分のページは自然とWebという百科事典の目次に掲載されるということである.前述のとおり,自分の研究成果を発信するということは,他の研究者の役に立つ可能性を有する.その研究者が同じような研究をしている人ならば,互いに情報交換をするということは研究活動において有意義であり,このようにWebにホームページを作るということは,インターネットというネットワークに自分のアンテナを広げるということになる.
Webは電話や手紙のように特定の相手にのみ情報を伝えるものではなく,また,テレビのように,与えられた情報をただ享受するだけのものでもない.Webは不特定多数との双方向メディアであるといえる.我々はこの一対多通信を可能にするWebを利用することにより,情報を受信するだけでなく,不特定多数に向けて自らの情報を発信できる.
知的システムデザイン研究室には,ホームページ作成に関するガイドラインが存在する.知的システムデザイン研究室が所有するサーバ内に置かれるホームページは全てこれを遵守し,トップページからガイドラインへリンクも張らなければならない.このガイドラインは,後に述べる著作権に関するものや,いわゆるネチケットと呼ばれるネット上のエチケットなどを主に記したものである.「知的システムデザイン研究室におけるホームページ作成に関するガイドライン」のURLはhttp://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/guide.htmlである.
著作権とは,著作者が著作物に対して持つ権利である.著作権で守られている著作物を,著作者に無断で第三者に公開することは「著作権法」で禁止されている.ここでいう著作物とは,著作権法の中で「思想又は感情を創作的に表現したものであって,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定義されており,文章,曲,歌詞,絵画,写真などはすべて著作権の対象になる.
1.4.1 "Copyright©の意味"
著作権は英語でCopyrightといい,著作権を主張する際に良く"Copyright©"と記される.著作権に関する代表的な条約にはベルヌ条約と万国著作権条約がある.前者は,著作権の発生に何ら手続きを要しない無方式主義を採用し,後者は"©"表示さえあれば著作権は保護されるという方式主義を採用している.日本は双方の条約に加入している.ベルヌ条約に加入している日本では"Copyright©"と明記することに法律的な意味はないが,「これは著作権で守られています」という意思表示である.しかし,万国著作権条約には加盟しているが,ベルヌ条約には加盟していない国々(2004年12月現在カンボジア・ラオスの2カ国)に対しては."©"を表示することに意義がある.
1.4.2 著作権の取得
特許権などは特許庁への申請が必要であるが,著作権は著作物を創作したり公表した時点で自動的に発生するものであるので申請などの特別な手続きを行う必要はない.
1.4.3 著作権の有効期間
著作権の有効期間は原則として「著作者の死後(共同著作物にあっては,最終に死亡した著作者の死後)五十年」とされている.
1.4.4 法人所有の著作権の有効期間
法人や団体が著作権を持つ場合は「その著作物の公表後五十年」とされる.連載物は基本的に最終話(三年以上続編が出ない場合は最後の話を最終とみなす)を公表時とする.
1.4.5 著作権以外の権利
著作権を侵害しなくても,商品名や社名などに関する「商標権」,発明に関する「特許権」,芸能人の写真などに関する「パブリシティ権」,その他「肖像権」など,守らなくてはならない権利にはいろいろあり,注意が必要である.
1.4.6 著作権において知っておくべき事項
「著作権法」は明記された文章であるが,その解釈はインターネットの普及などに伴い常に変動している.以下に知っておくべき点を挙げる.
個人で楽しむために写真や絵を複製することは著作権の侵害にはならない.しかし,個人で楽しむ目的であっても不特定多数の人が閲覧可能なホームページに写真や絵の複製を掲載することは,著作権の侵害に当たる.
アニメなどのキャラクターの似顔絵をホームページなどで公開することも禁止されている.特にミッキーマウスなどのディズニーキャラクターは管理が厳しく,ミッキーマウスのシルエットだけでも訴えられるケースもある.
キャラクターの写真や映画のパンフレット,またCDのジャケットなどをホームページで公開することも禁止されている.
「フリー素材集」など多くの著作物が「フリー」として公開されているが,その公開者がすでに他の人の著作権を侵害している場合もその著作物を使用することはできない.しかし,逐一「本当にフリーなのか」を確認することは不可能であり,個人ホームページに使用する程度であれば,「フリー」の言葉を信用せざるを得ないのが現状である.
人から受け取った電子メールを無断で第三者に転送したり,ホームページ上で公開することも著作権の侵害になる.
海外の著作権の複製も,万国著作権条約・ベルヌ条約などの国際条約があり加入国の間では著作権の侵害として禁じられている.また,海外の出版物の翻訳物を無断公開することも禁じられている.
著作権侵害は犯罪であり侵害者は処罰される.ただし,被害者が告訴しなければ処罰されない.罰則は,最高で5年以下の懲役又は500万円以下の罰金である.
著作物は「引用」であれば無断で行うことができる.引用する際は以下の4項目に注意すること.
- 引用する必然性があり,その範囲も必然性があること.
- 『』などで自分の著作物と引用部分が区別されていること.
- 質的量的に自分の著作物が主であること.
- 引用部分の出所を明記すること.
「このページへのリンクを禁止します」と明記されていても,リンク自体は法律的違反ではない.しかし「リンクフリー」と明記されたページ以外へのリンクは,そのページの管理者に確認するのが礼儀である.
著作権について悩むことがあれば,著作権の保有者側にメールなどで問い合わせること.
現在の知的システムデザイン研究室が使用しているWebサーバは,外部公開用と内部公開用で異なるサーバーを設置しており,ともに"apache"というアプリケーションが使われている.知的システムデザイン研究室に設置されているサーバ名をTable1.1に示す.
Table1.1 知的システムデザイン研究室に設置されているサーバ
コンテンツの種類 サーバ名 外部公開用コンテンツ mikilab 内部公開用コンテンツ museion
2.1.1 外部公開用コンテンツとは
知的システムデザイン研究室が行っていることを外部に伝えるためのものであり,以下のようなコンテンツがある.知的システムデザイン研究室のホームページのURLは,http://mikilab.doshisha.ac.jp/である.Table1.2にホームページの構成を示す.
Table1.2 mikilab(外部公開用)のコンテンツ
コンテンツの種類 説明 What's New 近況報告など,研究室からの新情報をWeb Journalで公開 Teaching Staff 教員の紹介 Lecture 講義資料, レポート表紙のダウンロード DIA Laboratory 研究テーマ, 月例発表会, 研究成果, 基礎ゼミ等の一覧 DIA Labo.Students 各研究生の個人ページ,研究グループのページへのリンク Links 研究室や研究内容に関連するリンク一覧
2.1.2 内部公開用コンテンツとは
知的システムデザイン研究室内部からのみ閲覧可能なもので,構成をTable1.3に示す.
Table1.3 museion(内部公開用)のコンテンツ
コンテンツの種類 説明 共有フォルダ 研究資料やその他研究室で共有しているデータ Wiki集 Wikiによる各種ページ
・管理者用語
・各マシンの作業報告
・Debianインストールマニュアル(2004年度)
・基礎ゼミ管理者関係 ・技術報告(ISDLで研究された各種の技術情報が掲載)
・テンポラリIP貸出表(ISDLが所有するIPアドレスをテンポラリIPとして貸し出している)
・ドメインネーム表(ISDLに所属するマシンに割り当てられているドメインネームとIPの対応表)研究室内向けドキュメント ・環境構築用資料(ISDLでのネットワーク環境等の構築資料)
・研究生活基礎事項マニュアル
・機器利用マニュアル
・TeX(TeXのPDFへの変換方法)
・パラメータDBスクリプト(GAパラメータデータベースに対して,CSVファイルをDBに入力できる形式に変換するスクリプト)
・Gregorユーザマニュアル
・バックアップマニュアル1,2(研究データを保存するマニュアル)
・Eclipseからのcvsの利用方法
・Movable Typeのセキュリティー対策
・Gregorユーザマニュアルメーリングリスト 各年度の重要メール(メーリングリストで流れた重要なメールなど) Laboratory Assistant LAのお仕事(LAの仕事内容) 役割 各年度のISDL役割分担表(役割・ゼミ担当者の表) データベース ・各研究グループデータベース
・各機器や備品などの状況
・公共マシンにインストールされているソフトウェア一覧
・マシンデータベース(ISDLにおけるマシンデータベース)
・クラスタ用の部品の管理表
・文献データベース
・各年度の住所録Teaching Assistant 各年度のTA一覧表 PhotoGallery ISDL内でのイベント等の写真集 マシンについて ・Clusterの使用状況
・マシンのロードモニタへ(ISDLのマシンの負荷状況がわかる)
知的システムデザイン研究室では,サイボウズというシステムを使用して教員・学生および設備の日々の予定管理を進めている. 具体的には知的システムデザイン研究室ではサイボウズを使用して, 各個人の日々の予定,また会議等で使用する会議室を予約し,予定の調整やその連絡を行っている.
3.2.1 ログインとログアウト
サイボウズを利用するためにはまずログイン画面に入り, そこでログイン名とパスワードを入力して共有サーバへとログインする. 初めてログインする際には管理者から与えられたログイン名とパスワードを入力する. はじめはログイン名とパスワードが一致しているため他のユーザからのログインが可能なので, 最初にログインした際に必ずパスワードを変更する.
fig1 ログイン画面
ログアウトを行うためには,fig2にあるように“ログアウト”のアイコンをクリックするとログアウトを行うとことができる.
fig2 トップページからのログアウト
3.2.2 個人設定
パスワードの変更
3.2.1で記述したように最初にサイボウズへログインする際にはログイン名とパスワード が同一である.そのため個人のアカウントが知られてしまう恐れがある. そのため最初にログインした際に,必ずパスワードの変更を行う必要がある. ここではその手順を説明する. まずトップページの右下にある“パスワードの変更”のアイコンをクリックする.
fig3 トップページの“パスワード変更”アイコン
するとfig4の画面に切り替わるので,変更したい新たなパスワードを入力する. また確認用としてもう一度同じパスワードを入力する. 2度のパスワード入力が終ったら,その下にある“変更する”のアイコン をクリックすることによりパスワードの変更が行われる. パスワードの変更が完了すると自動的にトップページの画面に移る. 以上でパスワード変更は終わりである.
fig4 パスワード変更画面
トップページのカスタマイズ
トップページのカスタマイズを行うことで,全体または各個人が設定したMyグループ (Myグループの説明は以下の”Myグループの設定”で行う) のメンバーのスケジュール等を一括して閲覧することができる. ここではトップページのカスタマイズについて説明する. まずトップページの右下の“個人設定”のアイコンをクリックすることにより fig5に示すページが表示される. ここで画面の中程にある“トップページ”のアイコンをクリックすることにより fig6に示すページが表示される.ここでトップページのカスタマイズを行うことができる.
fig5 トップページのカスタマイズ画面へのアイコン1
fig6 トップページのカスタマイズ画面へのアイコン2
またfig6の”スケジュール”(固定)のアイコンをクリックすることにより fig7に示すページ(パーツ変更)が表示される.fig7では表示方法の中から 各個人がログインした際に,表示されるグループを選び,“変更する”のアイコン をクリックすると,自動的にトップページに移り, 変更したグループのスケジュールが一覧できる.
fig7 トップページのカスタマイズ方法
Myグループの設定
トップページのカスタマイズでは既存のグループを選んで, トップページに表示するよう設定した.ここでは各個人で様々なグループ を作成する方法の説明を行う.まずトップページの“個人設定”から個人設定の画面に移り, その画面から“Myグループ”のアイコンをクリックことにより fig8に示すようなページが表示される.
fig8 Myグループの設定へのアイコン
ここでMyグループ名を入力し,所属するユーザーに所属させたい人を選び “←追加”のアイコンをクリックすることで,登録することができる. また間違えてしまった場合には“削除→” のアイコンをクリックすることで削除することができる. 最後に“追加する”のアイコンをクリックしトップページに戻ると Myグループの設定は終了である.Myグループの設定を行うと, トップページのカスタマイズで自分で作成したグループを選択することができる.
fig9 Myグループの設定方法
3.2.3 スケジュール
スケジュール登録の仕方について説明する.fig10に示すようにトップページのメモ用紙の fig11のような画面に推移する.この画面の日付・時刻・予定をプルダウンから選択し, 参加者を追加することで,その追加した参加者全員にもスケジュールが登録される. また設備を使用したい場合には設備で追加を行う. 最後に“登録する”のアイコンをクリックして終了である.
fig10 スケジュール画面へのアイコン場所
fig11 スケジュール登録の方法 3.2.4 ファイル管理
ファイル管理の機能について説明する.この機能を利用することでファイルの共有が可能となる. まず“ファイル管理”のアイコンをクリックするとfig12に示すようなページが表示される.
fig12 ファイル追加,フォルダ作成のアイコンの場所
ファイルやフォルダを作成したい場所で“ファイル追加”または“フォルダ作成” のアイコンをクリックすると, fig13に示すようなページが表示される.ここでファイル名またはフォルダ名に記入して “追加する”または“作成する”のアイコンをクリックして終了である. なお,ファイルの追加は参照もできる.
fig13 ファイル追加画面
4回生は,5月のゴールデンウィーク明けまでに各自でホームページを設置しなければならない.HTMLを学習するいい機会なので,ホームページ製作のソフト(例:IBM社のホームページビルダー等)を用いず作ってみよう.以下に参考となるページのURLを挙げる.
「とほほのWWW入門」 http://www.tohoho-web.com/ 「Academic HTML」 http://www.tg.rim.or.jp/~hexane/ach/ 「ホームページ作成無料リンク集」 http://www.sumnet.ne.jp/domp/hplink/ 「ホームページ作成ガイド」 http://siriasu.s10.xrea.com/wg/
Blogに関しては今回設置する必要はない.詳細に関しては第2回ホームページゼミで述べることにする.