ESOの最適レイアウトの最大変位を変位制約条件として持つGAによる位相最適化

梶原 広輝, 廣安 知之, 三木 光範

ISDL Report  No. 20060809004

2006年 5月 15日

Abstract

本報告ではESOで得られるレイアウトを最適レイアウトとし, GAによる位相最適化とその手法にESOの概念を組み込んだ手法とで, レイアウトと解探索, 最大変位において比較を行った. レイアウトの結果と解探索の結果から, ESOの概念を組み込んだGA(削除率:0.0100)が最も最適レイアウトと類似しており, また解探索も最も進んでいることを確認した. そして, 最大変位の結果から, どの手法においても探索序盤で最大変位が変位制約付近にあり, 非常に制約の厳しい探索となっていることを確認した.

1  はじめに

本研究では位相最適化へのアプローチとして, ESO(Evolutionary Structural Optimization)の概念を組み込んだ遺伝的アルゴリズムに, 構造形態を考慮した交叉を適用した手法を提案している[1]. そこで, 本報告ではESOで得られたレイアウトを最適レイアウトとし, GAによる位相最適化(以下, GAと略)とその手法にESOの概念を組み込んだ手法(以下, GA+ESOと略)とで比較を行う. その際, ESOで得られた最適レイアウトにおける最大変位を, 上記2つの手法の変位制約条件とする.

2  シミュレーション概要

2次元連続体の片持ち梁に対して, ESO, GA+ESO, GAとで比較を行う. ここでFig:1 に示すように, 板厚を1.0, ポアソン比u = 0.3, 中実要素として弾性係数E0=206GPa, 空隙要素として極端に小さいE1=103MPaを割り当てる. 境界と荷重条件は, 境界を左辺で固定し, 右辺の中央に垂直荷重を10.0GN負荷する条件とした.

ここでGA+ESOとGAにおける変位制約条件は, ESOで得られた最適レイアウトの最大変位, Fig:2 において削除率0.05の時である「6.474」とする.

Figure 1: 2次元連続体の片持ち梁【出展:自作】

Figure 2: ESOによる最適レイアウト【出展:自作】

各手法のパラメータを以下Table:1 に示す. Table:1 において, 削除率が0.0025〜0.0100がGA+ESO, 削除率が0.0すなわちESOを行わないのがGAである.

Table 1: 各手法のパラメータ【出典:自作】
個体数 100
サブ母集団数 10
エリート個体数 1
染色体長 400
選択方法 トーナメント選択(トーナメント数:2)
移住率 0.5
移住間隔 5
交叉方法 構造形態を考慮した交叉[2]
突然変異率 0.0025(1/染色体長)
削除率 GA+ESO(0.0025, 0.0050, 0.0075, 0.0100), GA(0.0)
変位制約値 6.474
フィルタリング手法 Moore近傍
終了世代数 1000

3  シミュレーション結果

2章で述べたシミュレーションを基に, GA+ESOとGAで得られたレイアウト, 最良個体の解探索, 最大変位について以下に述べる.

3.1  レイアウト

GA+ESOとGAにより得られたレイアウトを以下Fig:3 に示す. Fig:3 において縦方向には100世代毎を, 横方向にはGA+ESO(削除率が0.0025, 0.0050, 0.0075, 0.0100)とGAの各手法を示す. GA+ESOにおいては各削除率において世代数500を越えたあたりからレイアウトの変化が無く収束傾向にある. GAにおいてはESOの有する要素を削除する機能が無いため, 当然進化の速度は遅い. 最終レイアウトも形状においては他の手法や最適レイアウトと類似しているが, 位相においては大きく異なる.

レイアウトの結果からは, 最適レイアウトと最も類似する手法はGA+ESO(0.0100)であった. そして, 各手法の最終レイアウトが類似していない点も確認することができた.

Figure 3: GA+ESOとGAにより得られたレイアウト【出展:自作】

3.2  解探索

GA+ESOとGAの最良個体の解探索履歴の結果を以下Fig:4 に示す. Fig:4 より, ESO+GA(0.0100)が最も探索が進んでいること, GA+ESOに比べGAの探索が進んでいないことが確認できる. これは3.1節で述べたように, 最適レイアウトに類似している関係と同様であった. また同様に, ESO+GAでは500世代を越えたあたりから探索が停滞していることも確認できた.

Figure 4: GA+ESOとGAの最良個体の解探索履歴【出展:自作】

3.3  最大変位

GA+ESOとGAの最良個体の最大変位の結果を以下Fig:5 に示す. Fig:5 (a)より, 各手法ともに探索序盤から最大変位が設定した変位制約値(6.474)付近にあることが確認できる. Fig:5 (b)では変位制約付近をスケーリングしたものであるが, 同様に変位制約付近であることが確認できる. 非常に制約の厳しい, 実行可能領域の狭い探索であることが分かる.

(a)スケーリングなし
(b)スケーリングあり
Figure 5: GA+ESOとGAのの最良個体の最大変位【出展:自作】

4  まとめ

本報告ではESOで得られたレイアウトを最適レイアウトとし, GAによる位相最適化とその手法にESOの概念を組み込んだ手法とで, レイアウトと解探索, 最大変位において比較を行った. レイアウトの結果と解探索の結果から, ESOの概念を組み込んだGA(削除率:0.0100)が最も最適レイアウトに類似しており, また解探索も最も進んでいることを確認した. そして, 最大変位の結果から, どの手法においても探索序盤で最大変位が変位制約付近にあり, 非常に制約の厳しい探索となっていることを確認した.

References

[1]
梶原 広輝, 廣安 知之, 三木 光範.
位相最適化問題への遺伝的アルゴリズムの適用(適合度, 交叉, 子個体の引き戻しの検討). Technical report, 2006.
http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/research/report/2006/0809/002/report20060809002.html
[2]
梶原 広輝, 廣安 知之, 三木 光範.
位相最適化問題への遺伝的アルゴリズムの適用(交叉の有効性の検証). Technical report, 2006.
http://mikilab.doshisha.ac.jp/dia/research/report/2006/0809/003/report20060809003.html


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