変わりゆく言葉−若い学生の言葉−
(1998.2.28更新)
- 新しい言葉
学生が用いる現代言葉と20年前ぐらいの言葉は,もちろん変化しています.これはその一例です.左が20年前,右が現代語です.他にもあったら,教えてください.お便りはこちらまで.
カブ=原チャリ
ビフテキ=ステーキ
コールテン=コーデュロイ
冷コ=アイスコーヒー
コールコーヒー=アイスコーヒー
ズボン=パンツ
シミーズ=キャミソール
シャコタン=ローダウン
自転車=チャリンコ
運動靴=スニーカー
つっかけ=ミュール :これはフランス語です.こんなん使っている学生いますか?
レコード=アナログ
とっくりセーター=タートルネック=ハイネック
さるまた=アンダーパンツ
肌着=アンダーウエア
アベック=カップル
バンド=ベルト
本当=マジ
チョッキ=ベスト
ジャンパー=ブルゾン?:ジャンパーとブルゾンは異なると言う学生がいます.
ゲレンデ=ピステ?:ピステなんて聞いたことない?
ミーコ?=ミルクコーヒー=カフェオレ:最近ではもっと新しい言葉がはやっている.下の補足参照.
背広=スーツ
コピー=ゼロックス
Gパン=ジーンズ
はなかみ=ティッシュ
クーラー=エアコン
女子高生=コギャル
不良=ヤンキー:これは同一の概念でしょうか?
ハイヤー=タクシー?
むらさき=醤油:これも料亭だけ?昔から醤油です.
あがり=茶:これは寿司屋だけ?昔から茶です.
おあいそ=レジ
手ぬぐい=タオル
あお(碧)=緑(碧)
時刻表=時間表
おなご=女の子
かしわ=とり,チキン
すごい=超
草履=サンダル
ごはん=ライス:レストランではごはんと言ってもライスですねと念を押す.
98年2月23日に鎌倉市にお住まいの土肥睦子様から次のメールをいただきました.
こうしてフラフラとメールをさしあげる次第です。
と、いうのも、つい昨年「1998知恵蔵」の仕事で、『今様若者ことばの傾向と対策』という原稿を書いたため、是非ご一報をと思いまして。
P453 〜 P472(いまの時代の風俗探検)を企画編集取材原稿と、よろずやさん的にまとめてみました。
高校生のアンケート、外国人からみた日本など、悩めるおじさんの読者を想定して、私自身もすっかりおじさん気分でまとめたものです。機会がありましたら目を通して見て下さい。
もとの資料になったのが、関西の大学の先生が収集された言葉で、西と東とでは若干ニュアンスが違うなというのと、先生自体が浮き世の普通化している若者ことばから少し距離があるなと思いました。
ともあれ、この原稿を書いた最大の収穫というか、発見は「ちんぷんかんぷん」という言葉が江戸時代の若者言葉=流行語だということです。念のため、講談社の学術文庫「江戸語辞典」を調べたら、りっぱに掲載されていました!!!
『土人』も思わず笑ってしまいましたが、昔、私がケニアに旅行に行くにあたり、
大正2年生まれの母が「むっちゃん、アフリカは土人がいっぱいいるんでしょ?」とたずねられ「ド、ドジン……??」絶句したのを思い出します。
コメント(三木)この方は編集記者ですのでいわば言葉の専門家です.「ちんぷんかんぷん」という言葉が意外に古い言葉であるのには驚きました.言われてみれば,我々は結構変な言葉を何の疑いもなく使っています.「ちんぷんかんぷん」もそうでしょうし,「めちゃくちゃ」とか「トントン拍子」なんかもそうでしょう.留学生と話すときにはできるだけ分かりやすく話をするのですが,そうするとこの種の言葉は結構な頻度で会話に出てきます.この文では「結構な頻度」は「比較的多い頻度」と言い換えなければならないように,よく考えたら意味のつかみにくい言葉を多用しています.これらの言葉を使わないようにするのは疲れます.しかし,こうした標準的でない言葉こそが年齢を感じさせる言葉でもあるようです.
さきほどのメールを送って(このおかげで、メールソフトとブラウザが一体化できま
した)続きを読んでいたら、早稲田の大館さんの文を読んで、深夜にワハハとばか笑いしてしまいました。
「きぐるい」。先生はやさしいのでそのように解釈されたかもしれませんが、
早稲田の先輩である私としては、遠慮なく「君!読み間違いだよ」と注意したくなります。(キノトールの著作に「キチガイ部落」というのがあったような……。)
私も同じようなことがありまして、「修道女」を「しゅうどうめ」といった学生の友人の話を笑いながら別の若い人にしたら、「あなたは、どくじたか{毒舌家)ですね」と言われ、笑いをこらえるのに必死でした。
言葉はおもしろいです。しかし、最近の過剰で過敏な放送禁止用語は納得できません。業界にはいろいろと事情があるみたいですが、時に、差別感がよりあらわだったり、私にはカンケイありません、という無責任と遺棄をオブラートで包んだだけみたいだと反発を感じます。
と、ちょっとエラソーになりまして、すみません。
今後は、新しい言葉に向けてアンテナをはります。
96年7月17日法学部政治学科の小島さんからメールをもらった.「私が最近自分で使っていた言葉で気になったのが「何気に(なにげに)」「さりげに」です。何気なく、さりげなく、という言葉を縮めた意味以上のものとして使っているような気がするため、単に置き換えることは出来ないかも知れませんが・・。」という訳で,追加します.小島さん,ありがとう.
何気なく=なにげに
さりげなく=さりげに
カフェオレの新しい言葉は”ドトールコーヒー”店で見つけた.それはカフェラテである.しかし,カフェラテはカフェオレと同じではないかもしれない.カフェラテはエスプレッソに大量のミルクを入れたものだ.ちなみに,若い頃に米国にいったときにはあの薄いアメリカンコーヒーが(もちろん米国ではアメリカンとはいわないが)おいしかったが,その後はいつもまずいと思うようになってきた.日本でいえば安い食堂ででるようなお茶という感じで,コーヒーのうまさなどない.ところが米国も変わってきた.エスプレッソが人気である.ただ,米国のエスプレッソは日本の普通のコーヒーぐらいだけど.
阪大・北川研の中谷敬子さんから次のメールをいただきました.
先生のホームページを楽しく拝見させて頂いております。さて、『変わりゆく言葉
-- 若い学生の言葉 --』について、いくつか気づきましたので、若くない学生ですがメール致します。
1) メリケン粉 -> 小麦粉 -> フラワー
2) (コンピューターが)ハングする -> 固まる -> (ささる)
?) 土人 -> 黒人 ?????
1)は、昭和19年生まれの母がメリケン粉と呼ぶのに対し、昭和42年生まれの私は小麦粉、最近の(若者向けの)テレビでは、レシピに"フラワー"と書いてあったので。
2)の固まるというのは一般的だと思いますが、ささるというのは、北川研内の方言かも知れません。三木研でご確認頂きますように。
また、蛇足ですが、タクシーは、いまや、『タク』と言うようです。
?)は、リストに入るのかどうかは、ご判断にお任せします。先日、昭和14年生まれの父は、小錦を見て、土人と言っていました。多分、黒人のつもりだろうと思うのですが、昔はそう言ったのか、父が田舎出身なのでそうなのか、不明です。
コメント(三木)
ご投稿有り難うございました.いまどきメリケン粉などと言ったら笑われるでしょうね.そう言えばメリケン波止場という言葉も死語ですね.それから,ささるとは言わないでしょう.聞いたことがありません.誰か使ってますか?最後の黒人は,私は土人とは言わないです.そう言えば土人って何でしょう.ワープロで”どじん”と入れてもでません.これは差別用語ではないでしょうか.国語辞典で調べると,「未開地で原始的生活をしている土着の人」とありました.うーん.すごいですね.完璧です.未開地,原始的生活,そして土着.この三拍子が揃わないと土人ではないのですね.町で原始的生活をしているその土地の人は土人ではないのですね.ちなみに,アメリカの黒人は「アフリカ系アメリカ人」です.
早稲田の大舘健一さんから次のメールをいただきました.
初めまして。僕は早稲田大学法学部三年のオオダチケンイチというものです。そちらのホームページの「変わりゆく言葉」というコーナーを見ていて、ちょっと思ったことがあったので、こうしてメールを書いております。
僕は、今井直先生のゼミに所属しており、国際人権法について勉強しております。具体的には、従軍慰安婦問題、核兵器問題などです。このように言うと、ひどく堅苦しそうなゼミだと思われがちですが、今井先生は40代半ばと大変若く、ゼミコンパなどでの話題は主に60、70年代文化(ロックから、映画、文学等)です。(ちなみに先日、先生とボブディランのコンサートに行って来ました。)
先日、先生と映画について話していたとき、話がゴダールになりました。その時、僕らは「きぐるいピエロ」というのですが、先生は「きちがいピエロ」と言っていました。
そんなところに、僕は先生との間の約20年の差を感じました。
コメント(三木)
メール有り難うございました.私は今年47才ですので”今井先生は40代半ばと大変若く”というところが気に入りました.そうか,僕って大変若いんだな...
ところで,「きぐるい」は始めて知りました.ちなみに,辞書で調べてもそんな言葉はありません.ちなみに,「きちがい」は「気違い」とも「気狂い」とも書くようで,後者を若い人は「きぐるい」と読んでいるのかも知れません.でも最近は「きちがい」という言葉は差別用語なので「気狂い」を「きぐるい」と読むのは時代の流れなのかも知れません.
皆さんのお便りを待っています.