バイフェイス材料とふろしき概念
この話は少し専門的です.材料研究や複合材料に興味のある研究者のテーマです.
複合材料の華々しい時代は過ぎたというのが皆さんの共通の認識です.すなわち,複合材料は材料の一つになったということです.あまりにも研究も,研究者も拡散し,複合材料学会も発展的解消ということを考えている雰囲気です.
といって,インテリジェント材料学会もしんどいかなという訳です.
これから先,次世代協会も,各材料メーカーも,何を目標に仕事を進めてゆくべきか,難しいところです.インテリジェント材料の研究もここ数年が山だと思っています.その次にあるものが見えないという訳です.その点では,次世代プロジェクトのテーマになかなか選ばれないというのはそうした雰囲気があるからだと思っています.各メーカーも,本気ではインテリジェント材料の時代だとは思っていない,あるいは産業規模が小さいというのが本音ではないでしょうか.
材料と構造,この研究に革新的な視点を持ち込むことはできるのでしょうか.
力のメカから,知のメカへ,そして心のメカへ.
これが機械学会の標語ですが,インテリジェント材料の次は心の材料でしょうか.
心の材料とは一体何なのでしょうか.
それは人間と材料ということでしょうか.
私の考えでは,
構造物−構造材料−知的性能−人間的インタフェース−人間
という図式で,知的複合材料の知的性能を直接見せないようにして,しかも,人間にやさしい木材や竹,あるいは木綿というような材料でそれらを包み込むことが,一番の近道だと思っています.これはソフトウエアの設計で,オブジェクト指向において人間とのインタフェース部分をインテリジェントなラッパーで包み,それをまたユーザインターフェースで包むという発想から来ています.
この材料のコンセプトを私は”Bi-face”バイフェイス材料と呼びたいと思っています.
すなわち,工学的に要求される複合機能を一つの面とし,人間に接する部分をもう一つの面とする2つの面を持った材料という訳です.
この続きはビールでものみながら考えたいと思っています.